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オンプレミス型コールセンターシステムとは

コールセンターシステムの導入を検討する際、必ず選択肢となるのが「オンプレミス型」と「クラウド型」です。近年、手軽に導入できるクラウド型が主流となりつつありますが、今なお多くの大企業や金融機関がオンプレミス型を選択するには、明確な理由があります。本記事では、オンプレミス型コールセンターシステムの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、そしてどのような企業に適しているのかを、経営層の視点から徹底解説します。

コールセンターシステムの種類

オンプレミス型の特徴と構成要素

自社のサーバーや施設内に、PBX(電話交換機)やCTIサーバー、CRMサーバーといったハードウェアを設置し、ソフトウェアをインストールして構築する形態です。物理的な機器を含め、システム全体を自社で資産として「所有」し、管理・運用します。

クラウド型の特徴と仕組み

ベンダーがインターネット経由で提供するサービスを、月額料金などを支払って「利用」する形態です。物理的な機器は不要で、PCとインターネット環境さえあれば利用できます。システムの管理・運用はすべてベンダー側が行います。

どちらが適してる?オンプレミス×クラウド比較表

比較項目 オンプレミス型 クラウド型
初期費用 高額 低額または無料
ランニングコスト 保守・運用費(比較的低い) 月額利用料(ID数などで変動)
カスタマイズ性 非常に高い 制限あり
セキュリティ 自社ポリシーで強固に構築可能 ベンダーの基準に依存
導入スピード 数ヶ月〜1年以上 数日〜数週間
拡張性・柔軟性 低い(ハードウェア増設が必要) 非常に高い

オンプレミス型コールセンターシステムのメリット

自社環境でセキュリティを完全管理できる

最大のメリットは、セキュリティポリシーの主導権を自社で握れることです。外部ネットワークから切り離した閉域網でシステムを構築できるため、情報漏洩リスクを最小限に抑制できます。個人情報保護や業界特有の法規制が厳しい金融機関や官公庁などで、今もオンプレミス型が選ばれる大きな理由です。

自社業務に合わせた高いカスタマイズ性

独自の業務フローや、特殊な社内システムとの連携など、自社の要件に合わせてシステムを自由に設計・改修できる点も大きな強みです。パッケージ化されたクラウドサービスでは対応できない、複雑でニッチな要件にも柔軟に対応できます。

長期運用によるトータルコスト最適化の可能性

初期投資は高額ですが、一度構築すれば月額利用料は発生せず、自社の資産となります。システムの減価償却や、5年〜10年といった長期的な視点でTCO(総保有コスト)を算出すると、クラウド型より割安になる可能性があります。

運用データや通話録音を自社で保持できる強み

全てのデータを自社サーバー内に保管できるため、外部へのデータアクセスリスクを完全に排除できます。また、通話録音などの機微なデータも自社の管理下に置くことで、より厳格な品質管理やコンプライアンス遵守が可能になります。

オンプレミス型のデメリットと導入リスク

初期投資と保守コストが大きい

サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアライセンスなどの購入に、数百万円から数千万円規模の初期投資が必要です。加えて、ハードウェアの保守費用や、障害対応、定期的なシステム更新にも継続的にコストと工数がかかります。

運用には専門知識が必要

システムの安定稼働を維持するためには、サーバーやネットワークに関する専門知識を持つ社内IT人材が不可欠です。こうした人材を確保できない場合、運用を外部ベンダーに依存することになり、結果的に高い保守コストに繋がるリスクがあります。

スケーラビリティに課題がある

事業の急拡大に伴う席数の増加や、新たな拠点の追加といった変化に、迅速に対応することが困難です。ハードウェアの増設や回線の追加には、時間とコストがかかり、ビジネスの俊敏性を損なう可能性があります。

システム更新・障害対応に時間がかかる

新機能の追加や、セキュリティパッチの適用などを自社で行う必要があり、クラウドのように自動でアップデートされることはありません。また、ハードウェア障害が発生した場合、部品の調達から復旧までに数日を要することもあります。

オンプレミス型が向いている企業・業種とは

高度なセキュリティ要件を持つ業界

顧客の金融情報や個人情報を大量に扱う、銀行、証券、保険会社や、マイナンバーなどを取り扱う官公庁・自治体など、最高レベルのセキュリティが求められる業界に適しています。

業務プロセスを独自に最適化している企業

製造業の特殊な保守受付フローや、BPO事業者独自のマルチクライアント対応など、他社にはないユニークな業務プロセスをシステムに反映させたい企業に向いています。

長期運用を前提とした安定志向の企業

頻繁な仕様変更よりも、一度導入したシステムを長期間、安定して稼働させることを重視する企業文化と親和性が高いと言えます。

オンプレミス型コールセンターシステムの選び方

  • セキュリティ・コンプライアンス対応を最優先に
  • カスタマイズ性・API連携の柔軟さ
  • ベンダーの保守・サポート体制
  • 5年運用を前提としたTCO(総保有コスト)での比較
  • 災害・BCP対策に強いインフラ構成か

上記のリストは、オンプレミス型システムを選定する上で特に重要な5つの視点です。単に機能や価格を比較するだけでなく、自社のセキュリティポリシーを満たせるか、長期的なTCO(総保有コスト)で見合うか、そして信頼できるベンダーかといった、事業の根幹に関わる観点から総合的に評価することが求められます。

オンプレミス型導入のプロセスと構築例

1. 導入前の要件定義と現状分析

現在の通話量や業務フロー、課題を徹底的に可視化し、新システムで何を実現したいのか、必要な機能や性能、セキュリティレベルを具体的に定義します。

2. システム設計から構築・テストまでの流れ

要件定義に基づき、サーバー構成やネットワーク、アプリケーションの設計を行います。その後、機器の調達、設置、ソフトウェアのインストールと設定を経て、念入りなテストで品質を担保します。

3. 社内運用体制の整備とトレーニング

システムの日常的な監視や障害発生時の一次対応を行う担当者を任命し、運用体制を構築します。また、管理者やオペレーター向けに、スムーズな業務移行のためのトレーニングを実施します。

オンプレミス×クラウドのハイブリッド活用例

在宅対応の一部をクラウド化する構成 平常時はセキュリティの高いオンプレミス環境で運用しつつ、パンデミックや災害時など、BCP発動時には在宅勤務用のクラウド席を追加して事業を継続する
音声・データをクラウド分析基盤と連携 オンプレミス環境で収集した通話録音データを、クラウド上のAI音声認識サービスと連携させ、テキスト化・分析する活用法。これにより、資産は社内に保持しつつ、最新のAI技術を活用でる

オンプレミス型コールセンターシステム紹介

国内で提供されている、代表的なオンプレミス型(およびハイブリッド対応型)のシステムを紹介します。それぞれに特徴があるため、自社の要件に合うかどうかの参考にしてください。

テクマトリックス株式会社のHPキャプチャ
引用元:テクマトリックス株式会社
https://www.techmatrix.co.jp/index.html

CRM機能を統合し、国内市場で高いシェアを誇る実績豊富なシステム

テクマトリックスが提供する「FastHelp5」は、CRM機能を完全に統合したコールセンターシステムです。長年の導入実績に裏打ちされた豊富な機能と、手厚いサポート体制が強み。オンプレミス型を基本としながら、在宅勤務や他拠点との連携にも柔軟に対応できる構成が可能で、大企業から中堅企業まで幅広く支持されています。

メディアリンク株式会社のHPキャプチャ
引用元:メディアリンク株式会社
https://www.medialink-ml.co.jp/

数千席規模にも対応。大規模・高信頼性が求められるセンター向けの本格派システム

メディアリンクの「MediaCalls」は、大規模コールセンターでの豊富な導入実績を誇るシステムです。高い安定性と拡張性が特徴で、数千席規模のセンター構築にも対応可能。自社開発のAI音声認識ソリューションとの連携も強みとしており、金融機関や自治体など、ミッションクリティカルな環境で選ばれています。

ジェイエムエス・ユナイテッド株式会社のHPキャプチャ
引用元:ジェイエムエス・ユナイテッド株式会社
https://www.jms-united.co.jp/

オープンソース活用で、低コストと高いカスタマイズ性を両立

ジェイエムエス・ユナイテッドが提供する「InfiniTalk」は、オープンソースのPBXソフトウェア「Asterisk」をベースに開発されています。これにより、ライセンス費用を抑えつつ、自社の特殊な要件に合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。コストを重視しつつも、独自のシステムを構築したい企業に適しています。

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社のHPキャプチャ
引用元:パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社
https://service.is-c.jpn.panasonic.com/esmilecall

パナソニックブランドの信頼性。製造業や公共分野での実績が豊富

パナソニック インフォメーションシステムズが提供する「eSmileCall」は、パナソニックグループとしての高い信頼性と品質が特徴です。特に製造業のサポートデスクや、官公庁・自治体での導入実績が豊富で、既存の業務システムやパナソニック製のビジネスフォンとの連携もスムーズ。安定稼働を最優先する企業に選ばれています。

トランスコスモス株式会社のHPキャプチャ
引用元:トランスコスモス株式会社
https://inspirx.jp/

BPO最大手の運用ノウハウを結集。CXとEXの向上を両立する設計思想

国内最大級のBPO事業者であるトランスコスモスが、自社の運用ノウハウを基に開発したシステムが「inspirX 5」です。顧客体験(CX)だけでなく、オペレーターの働きやすさ(EX)の向上も重視した画面設計や機能が特徴。AIやデジタルチャネルとの連携にも積極的で、次世代のコンタクトセンター運営を目指す企業に適しています。

オンプレミス型導入時の注意点

内部リソース確保と運用人員育成の重要性

システムを「所有」するということは、その運用責任を自社で負うということです。導入前に、専門知識を持つIT人材を確保、あるいは育成する計画が不可欠です。

ベンダー選定時のSLA確認

障害発生時の復旧時間やサポートの対応範囲を定めたSLA(サービス品質保証)の内容を、契約前に詳細に確認し、自社の要求レベルと合致しているかを見極めましょう。

将来的なクラウド移行も視野に入れた設計

現時点ではオンプレミスが最適でも、5年後、10年後には状況が変わる可能性があります。将来的なクラウド移行も想定し、データ移行がしやすい構成などを視野に入れて設計することも一つの考え方です。

自社の要件と戦略に最適な「所有」の形を選ぶ

オンプレミス型コールセンターシステムは、クラウド型に比べて導入のハードルは高いですが、セキュリティやカスタマイズ性において、依然として大きな優位性を持っています。重要なのは、クラウドかオンプレミスかという二元論で考えるのではなく、自社のセキュリティ要件、業務内容、そして長期的なIT戦略に照らし合わせ、最適な「所有」または「利用」の形を選択することです。本記事が、その戦略的な意思決定の一助となれば幸いです。

業界特有の課題を
解決できる製品を選ぼう

コールセンタークラウドシステムが活用されている業界は幅広いため、製品選びを成功させるには、自社の業界に合った機能を備えている製品を見つけることが大切です。

当サイトでは、導入する業界別におすすめのコールセンタークラウドシステムをピックアップ。業界特有の課題をどのように解決できるのか、理由と併せて紹介しています。自社の業界にマッチする製品を見つけたい方は、ぜひチェックしてみてください。

業界別におすすめ!
コールセンタークラウドシステム3選

業種別
クラウド型コールセンターシステム3選

コールセンターの運用を適正化し、事業成長を加速させられるクラウド型システム。業種・業界ごとの課題に応じて導入し、変化に強いコールセンターを構築しましょう。

金融・保険業界
Genesys Cloud CX
Genesys Cloud CX
引用元:Genesys Cloud CX公式HP
(https://www.genesys.com/ja-jp)
強固なセキュリティ対策で
重要な顧客情報を守る
複数の防御対策を掛け合わせ、企業ごとに固有の暗号化キーも採用。PCI DSS、GDPR、ISO 27001等、国際的な金融セキュリティ基準に準拠しています。
セキュリティとAI活用で
顧客対応・監査の負担を削減
AIが顧客情報を分析して適切なオペレーターをアサインし、初回解決率を向上。個別対応が重要なローン・信託相談の効率化に寄与します。
金融・保険業界向けの主要機能
  • オペレーター自動振分
  • 顧客対応の支援AI
  • 顧客記録の自動レポート
生活インフラ業界
Bright Pattern
Bright Pattern
引用元:Bright Pattern公式HP
(https://brightpattern.cba-japan.com/)
クレームが激増する
障害発生時の対応をカバー
東京と大阪の2つのエリアでデータ同期しながら運用可能。特定エリアでの障害・災害発生時にも利用者を待たせることなく対応できます。
チャットボットや自動音声で
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24時間365日、チャットボットや自動音声が回答をしてくれます。問い合わせ対応を止めずに済み、クレーム阻止につながります。
生活インフラ業界向けの主要機能
  • 通話待ち整理券
  • AIチャットボット
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EC・小売業界
Re:lation
Re:lation
引用元:Re:lation公式HP
(https://ingage.jp/relation/)
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  • 通話の自動文字起こし
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